Final Distance

宇多田ヒカルのFinal Distanceという曲、すごく好きです。

ふたりの間の距離。心の距離や人と人とのどうしても分かり合えない部分のことだと思うんですけど、そのdistanceについて、彼女の歌詞は無理をしていないというか、きれいごとじゃないというか、リアルな視点で歌っています。

 

distanceを「縮める」という表現は良く聞くなぁと思います。彼女の歌にも出てきます。でもその後に、distanceを「見つめる」という表現が出てきます。どうにも縮められない、埋めることのできない溝って、絶対にあると思います。たとえ家族でも。そこの部分をどうにかしようともがくのではなくて、「見つめる」ということをしていくと、そのプロセスに必ず、距離の存在を認めてその事実を受け入れることが必要になる。なかなか「見つめる」とはそれ自体が大変なこと。

 

でもさらに彼女は、そのうちにdistanceも「抱きしめらる」ようになれるよ、と歌っています。ふたりの距離も、ふたりの関係の中の一つの愛おしい要素として、大事にしたいねっていう風に私は受け取ったのですが、素敵な表現だと思いませんか?こんな表現なかなかできないと思うのです。

 

受け入れる。無理をしない。決して諦めるのではなく、ネガティブに捉えがちなことを、敢えて肯定してそれを大切にしよう。